今週のシンガポール疾病状況


ラッフルズ ジャパニーズクリニック提供

2018年2月13日号 No.764

最近1週間のシンガポール疾病状況

引き続き高熱の患者さんが多いですが、インフルエンザの割合は減ってきた印象です。
成人、小児ともに、溶連菌感染症、アデノウィルス感染症で、のどの痛みや熱がで
ている方がいらっしゃいました。
典型的な水ぼうそう(水痘)の小児が二人受診しました。一例は親の帯状疱疹からの
感染と思われます。残念ながら1回だけの予防接種では感染を完全には予防できない
ので、1歳になったら3ヶ月あけて2回の予防接種を受けることをお勧めします。

特集:医療コラム その3 予防接種2

前回は予防接種で防げる病気がいかに恐ろしいものであるかについてお話ししました。
麻疹(はしか)は医療環境の整った国でも救命しえない可能性があること、おたふく
風邪のような一般に「軽い」と考えられているものでも難聴や不妊といった一生にわ
たる後遺症のリスクがあることが理解いただけたと思います。
予防接種については、回数に関する質問もよくお受けします。基本的にヒブ(Hib)
や4種混合などの不活化ワクチンでは抗体産生の効果が低いため回数が必要で、通
常は3、4回となります。これに対して、麻疹や風疹、BCGといった生ワクチンで
は抗体産生能力が高いため、通常1、2回で済みます。ただし、回数については環境
の変化とともに変わってきています。かつて麻疹ワクチンは1回接種すればいいとさ
れていました。これは、2000年頃まで日本で数十万人の患者が報告されており、
1度基礎的な免疫をつけておけば、街中で知らないうちに麻疹患者と接する機会があ
り、その都度免疫が再教育されて抗体が高い状態を保つことができたためです。しか
し、近年は麻疹患者が100名程度まで低下したため、かつてのように再教育される
ことがなくなり、時間とともに抗体が低下してしまうようなりました。このため、現
在では麻疹、風疹をはじめおたふく、水痘(水ぼうそう)の4種類の生ワクチンは2
回接種することになっています。
シンガポールでは、通常1才を過ぎたらこの4種類が一緒になったMMRVワクチン
を接種し、3~6ヵ月後に2回目を接種します。日本と比べてまだ麻疹の患者もそれ
なりにいるので、1才台で2回接種しておくことをお勧めします。昨年末、予防接種
などを統括するアメリカ疾病予防センターが、生ワクチンを2回接種しても長期的に
は抗体が低下するので、3回接種が望ましいという見解を示しました。近い将来3回
接種ということになるかもしれませんね。なお、MMRVワクチンを1才台で2回接
種してから本帰国した場合、幼稚園の年長(5~6才)でMRワクチンの追加接種
(定期接種)のお知らせが各自治体から来ると思いますが、上記の理由で受けておけれ
ばより長期にわたって抗体が維持できることになります。その際、シンガポールでは
1才台で2回接種するよう決められていたためにすでに2回接種したが、長期的に抗
体を維持するために3回目の接種も勧められた、とひとこと添えればスムーズになる
と思います。
回数で迷うことがあれば、お気軽に担当医までご相談ください。

医師 長澤哲郎


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